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彼と彼女のブルーズ(3)
もう冷めてしまった不味い缶コーヒーを口一杯に含み、目一杯倒したシートから少し体を起こす。知らないうちに眠っていたようだ。日曜日の朝一番の新幹線は乗客もまばらで、徹夜明けの秋山の神経を逆撫でる者はいない。少し霞んだ目で車窓を見遣る。朝焼けが綺麗だ。久しぶりに見る朝焼け。東の空の雲に映える赤、オレンジ、白、紫、濃紺のグラデーションが、今日もきちんと一日が始まることを知らせる。窓の外は日が昇る前の一番の冷え込みだろう。枯れた田圃と視界を遮る低い山並みがいつまでも続く。秋山の目に映るそれもこれもが誰かの所有地であり財産であり、七面倒な文書や記号が貼りついている。手を入れたり相続する人のいなくなった田畑もあるのだろうらぶれた田舎の景色。だがそれもこれも他人の秋山には関係ない、ただ流れていくだけの景色に過ぎない。ある時は素晴らしく感じ、ある時は鬱陶しく感じる「距離」を埋めている景色だ。年を取るにつれて「旅情」とは程遠い、魅力的でない「移動」が増えていく。
 
 新幹線を降り在来線のホームへ向かう。駅構内では耳慣れた方言の人々が行き交い、特産物をキャラクター化したマスコットのハリボテが秋山を迎える。乗り換えの有人改札の上にある時刻表を眺める。いつの間にか電光掲示に替わっていた時刻表を見ながら、田舎もそれなりに変わっていくものだな、と思う。乗り換えまでまだ時間がある。「小腹が空いたな」と思い、立ち食いそば屋で七味をたっぷりかけたたぬきそばを啜る。美味くも不味くもない、駅の立ち食いそば。一時腹を満たすためだけの食事。味も素っ気もないそれは、なんとなく人生に似ていると秋山は思う。
 すっかり日の昇ったホームで一時間に二本しかない列車の出発を待つ。喫煙スペースがホームの一番端にあり、面倒臭いな、と思いながらそこまで歩いて一服つける。ジャージ姿の女子高生の団体が、長い弓を持って同じホームに立っている。きゃあきゃあと嬌声を上げながら、お互いの脇腹をつつき合ったりしている。彼女達の人生にとって、多分今が一番夢も希望もある時期なのだろう、箸が転んだだけでも可笑しいはずだ。
 入ってきた二両編成の列車に乗り込むのは、秋山と女子高生にあと二人。目的地までの五十分、少し眠りたいので女子高生とは違う車両に乗る。暖房のおかげで自然と瞼が落ちてくる。見知った景色を眠い目擦りながらわざわざ眺める義理はない。列車は冬晴れの穏やかな海沿いの線路をコトコトと走り抜けてゆく。

 終点から一駅前の駅で降りる。何度となく乗り降りした木造の小さな駅舎、飲み明かした体にはただただ面倒臭さが先にくる。駅前に一台しか待っていないタクシーに乗り込み、行き先を告げる。地元の言葉で話す運転手のお喋りには耳を貸さず、ただただ腕を組んで窓の外を見遣る。国道沿いに全国フランチャイズの外食チェーン店やコンビニがポツリポツリと出来ている。来年開通する高速道路のインターに繋がる県道沿いの、だだっ広い駐車場を持つコンビニでタクシーを待たせ、缶コーヒーとワンカップを二本ずつ、線香、それに封筒を買う。その後コンビニの周りをグルリと回りながら煙草を一本吸う。此処は以前秋山の母の実家があった場所だ。秋山自身も小学五年から高校卒業まで此処で過ごした。歩きながら、以前の家の間取りを思い出そうとするが、年々その行為もおざなりになっている。辺りの景色も徐々に変わってきた。ここを離れて十二年、もう郷愁を誘われることもなくなった。再びタクシーに乗り、買ったばかりの封筒に比較的綺麗と思われる一万円札を二枚入れる。タクシーは音もなく出発する。

 両親の離婚が原因で、秋山がこのミカン山に囲まれた土地にやって来た頃、日本の経済はまだ没落の徴候すら見せておらず、父親と別れた寂しさはあったが、よくしてくれる母方の祖父母と母、六つ違いの妹とともに暮らした日々に振り返りたくないような思い出はなかった。小学校ではよくある転校生へのいじめにも遭うには遭ったが、そんなに陰険なものではなく、ガキ大将と一度拳を交えた後は、みな仲間と認めてくれた。それから地元の少年野球チームに入り練習に明け暮れる毎日だった。今思い返しても、少年時代に暗い面影はなく、幸せな少年時代だった。子供の夢を尊重してくれる大人がいて、大人達もそれぞれの暮らしを落ち着いて送っているように見えた。世界は強固なもので、明日という日を迎えるのに不安を掻き立てられることはなかった。家の周りを囲むミカン山はその姿を変えずに、秋山が死ぬまでそこにあり続けるものだという、根拠のない確信があった。
 しかし今日見るミカン山は荒れ放題で、大きくなって自然に落ちたミカンが山の斜面を転がったり、木の根元に落ち放題になっていた。ミカンを作る人も減って、山が捨てられているのだろう。随分使われていない錆びたミカン運搬用のレールが、山の斜面に幾筋も残るだけだ。人の姿はまったく見えない。直接の原因は、オレンジの自由化だろうと秋山は思う。ミカンを作っていた人達は猛反発したが、時の政権の政策方針は彼らを一顧だにせず、アメリカから安いオレンジが大量に入ってきた。それだけのことで、秋山の知っていたこの辺りの景色が徐々に変わっていくことになり、あれだけ明るく自信に満ちていたように見えた大人達も不機嫌になっていった。以来十数年、大人達の心からの笑顔を見ていないような気がする。それは秋山自身も含めて。

 タクシーはミカン山をひとつ越え、山の斜面に並んで張り付くように慎ましやかに佇んでいる墓地へと向かった。
幼い頃は、墓参りに行くのが楽しかった。一家総出で弁当を持って、たまに軽トラックが通るだけのミカン山の山道をポツリポツリ、祖父から昔話を聞いたり、左手に広がる穏やかな海を見たり、流れる雲に心遊ばせたりして、墓地までの道を歩いた。祖父はよく戦争の話をしてくれた。祖父にとっては地元を離れる最初の機会だったらしく、軍隊での共同生活もそれなりに楽しかったと言っていた。それは多分、外地へ赴くことがなかったのが大きな原因だろうと、中学生になった秋山は思ったが、祖父の出征前の写真を見せて貰うと、写真の中の二十歳の祖父はやはり幾分緊張した面差しで、生きて帰ってはこられないことも覚悟していたのかなとも思った。
タクシーを山の麓で待たせておいて、秋山は急な斜面を登って行った。秋山家の墓は、墓地の一番奥の山側にあった。祖父母は家と土地とミカン山を売った金で有料老人施設に入ってまだ健在なのだが、母は四年前に他界していた。くも膜下出血だった。珈琲と酒が好きな人で、いつか自分で喫茶店を持つのが夢だと言っていた。墓に手向けられている花はもうだいぶ萎びていた。そういうと、秋山は墓に花を持ってきたことがない。いつも缶コーヒーとワンカップを一本ずつ墓に供え、線香を焚き、墓の前で自分も缶コーヒーとワンカップを飲み、亡き母との時間を過ごす。墓に参る度に、なかなかいい話が持ってこれないでいる。それでつい、墓参の足も遠のく。「早く嫁さんでも見つけなさい」と墓の下から母が渋い顔をして言っているようだ。「そういろいろうまくはいかないんだよ、かあさん」と秋山はひとりごちる。
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by uts_home | 2009-08-17 02:30 | コラム
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