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もしも、私が田所博士だったら ――日替わりコラム(日曜日:ゲストコラムニスト・nizan)
もし日本列島が消えてなくなる運命だったら・・・。
リバイバルで今年、『日本沈没』のリメイク版の映画が上映されるそうだ。私は、先日レンタルDVDで30年前に制作された映画を鑑賞してみた。原作は73年に刊行された小松左京氏の同名小説で当時大ベストセラーになった。ストーリーは有名なので、既知の人が多いだろう。日本列島に大規模な地殻変動が起こり、列島の殆どが海中に没するという物語だ。73~74年の田中内閣の頃はひどいインフレで、子供心に石油ショックやトイレットペーパーを買い求める為にスーパーマーケット等に殺到する主婦の姿が印象に残っている。何となく落ち着かない世相にマッチした作品だった。
物語の中で、登場人物の一人地球物理学者の田所博士があと1年程で日本列島の殆どが海中に没することを国民に知らせるべきか、知らせざるべきか、時の総理大臣と議論するシーンも出てくる。

先般、政府与党は教育基本法改正案を衆議院に提出した。その中には「我が国と郷土を愛する態度を養う」という文言が入れられた。民主党の対案でも前文に「日本を愛する心を涵養する」という文言が入れられている。文部官僚や、政治家が考える日本の意味は何だろうか。彼らの認識では物理的な意味での国土、日本列島ももちろんその中にあるのだろう。
『日本沈没』によると、日本列島は約一億五千年前ではユーラシア大陸と地続きになっている。一部の右翼や政治家が嫌いな後の中国や朝鮮と一体なのだ。
私たち日本人が、国境をあまり意識しないでいい島国に生まれたのは、偶然でしかない。所詮、国境と呼ばれるものは、後世、人間が人為的に拵えたものでしかないのだ。そして、人が作った国境を、また人が作った近代の交通手段やビジネス技術で、やすやすと越えて、個人や企業が活動する時代がすでに来ている。それはこれからも増々進むだろう。ヨーロッパでは紆余曲折を経ながらもEUが発足し、フランスに住み、ベルギーの職場に通い、買い物はオランダでする人々が現在ではいくらでもいるという。日本の国土を意識することもいいが、アジアでも、それは困難で遠い未来の話かもしれないが、EUのような生活を送る日が来る、そんな夢を語る政治家の一人ぐらいいてもいいのではないだろうか。あるいは、また国民誰もが自然に愛せるような国を作ろうとしているか、官僚や政治家は常に自問自答しているのだろうか。教育基本法改正を主導している文部官僚は、今この国で天下りの総数が全省庁の中で一位であることを私たちは知っている。

『日本沈没』の中で、田所博士の列島沈没論は、首都圏に壊滅的は大地震が起きた後に、政府により正式発表される。そして、日本民族のエクソダス計画が立案実行される。アメリカ大陸は遠い。物語の中でオーストラリアの首相には、最初移住を拒否される。日本人はその殆どがユーラシア、アジアの中で生きて行くしかないのだ。結局、日本が沈没しても、しなくても一億五千年前の昔に返る。そんな、破天荒な空想をたまにしてみるのも悪くない。

私が田所博士だったら、石原慎太郎にだけは列島が沈没することは教えない。沖の鳥島に彼は住むだろうから。

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今回のコラムはゲストとして招かれたnizanが書かせていただきました。お粗末でした。
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by uts_home | 2006-05-28 00:53 | コラム
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