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さらば朱夏の季節
 夏休みというと「宿題」。宿題に関しては毎日コツコツやるタイプ、早くすませてしまうタイプ、休みの終わり頃に慌てるタイプ、いろいろあるようですが……皆さんはどうでしたか。わたくしめは最初の1週間ぐらいでドドドッと3分の1ほどすませ、「うん、これだけやっといたから、しばらくさぼっても大丈夫」と遊びほうけ……最後の1週間ぐらいで焦りまくったものです。要するに子供の頃から怠惰かつ小心だったのだなぁ(怠惰だけなら多分、初めに少しやったりしない。小心だけなら多分、コツコツやったはず……)。しかも、スケジュール管理能力ゼロ。いまだにそういう傾向はあって、自分でもあきれるばかりです。仕事に取りかかったぱかりの時はシャカリキになるけれども、予定より早く最初の山を越してしまうと全身が怠け心に満ちて……しばらくしてから大慌てするのである(笑)。
 しょうもない前置きはこのぐらいにして――。



 8月もあと2日。大人になってからは8月いっぱいの休暇を経験したことはないけれども、それでもイメージとして8月は「夏休みの月」であり、8月の終わりは「夏休みの終わり」、そして「夏の終わり」である。

 夏の終わりというのは、淋しいものだとよく言われる。野放図なほど明るい季節が去り、あれほど賑わっていた海にもひとけが少なくなり……。私はロマンティストではないけれども、それでも何ものかが去っていく足音が聞こえるような気はする。特に最近、夏の終わりにその足音が耳をかすめる気がするのは、自分自身の人生の「朱夏」が既に去り、白秋の季節に入りつつあるからかも知れない。

 もっともいわゆる青春――春の季節が終わり、夏を迎える頃には、足音は聞こえなかったようだ。時間は無限にあり、何処までも何処までも行けるのだと(別に頭で考えていたわけではないが)根拠もなく感じていたのだろう。いや、まったく意識しなかったわけではないけれども、それはかなりの程度、観念的なものに過ぎなかったように思う。

 だが港を後にした船は果てしない海原に漂うだけで、島影も見えず、ただひたすらに朱夏の季節を浪費し続けたのではないかと気付いたとき、私のなかで自らの夏に対する哀惜の念が――じくじくと滲み始めた。覆っても覆っても、ごまかしてもごまかしても、不意にうずき始める古傷のように。

 夏の終わりを意識したのは、おそらく自分の父の享年を超えたときだ。残された時間は無限にあるわけではないと、脳天気な私でさえ慄然とした。私の縁戚は短命な人間が多い。母方のほうはまあ平均的というか標準的であるようだが、父方の方は還暦前に亡くなっている者が多いのだ。いつまで生きられるかわからないのだ、と私はかなり真面目に思った。思えばそう意識したときに、実は私の朱夏は幕を下ろしたのではなかったか。

 夏よ、私の夏よ。失われたときよ。失われた恋人よ。おまえの記憶は、私のなかでとらえどころのない幻めいて日に日に冷えていく。おまえとの別離をはっきりと知りながら、真摯に向かい合わなかった私への、これは罰なのかも知れない。

 やがて白秋を過ぎて玄冬に入るとき、私は同じかなしみを味わいたくない。今日、そして明日。私は時間の密度を増しながら、自分の季節と付き合っていきたいと思う。100メートルを軽々と20秒弱で走っていた(あ、むろん世界記録などからすれば途方もない遅さですがね)若い頃は、季節は毎年おなじ顔をして訪れると思っていた。だがエレベーターのないビルを4階まで上がるだけでくたびれるような年になると、季節は一期一会なのだと(難しいことはわからないけど)感じるようになってきた。

 たしか、「今年も季節が巡って同じ花が咲いたが、人間は同じじゃない」みたいな漢詩があったと思う。和歌もあったような気がするな……(アタマよくないんで、細かいことは忘れちまいました。すんません~)。でも、花だって同じじゃあない。今年の夏は、ただ今年の夏。断じて、去年の夏や来年の夏と同じではない。

 今年の夏は去ろうとしている。そして私は、今年の夏と二度と出会うことはない。その別離を癒すのは虚飾を捨てて相擁した記憶だけなのだが、私はこの夏と相擁しただろうか。してねぇだろ、という囁きが寝苦しい夜の、夜ごとの夢のなかを駆け抜ける。

 夏よ、私の朱夏よ。取り戻せない恋人よ。私はおまえに対する誠意の証として、白秋の季節と真向かおうと思う。いつか永遠のときのなかでおまえと出会ったときに、おまえの前で眼を伏せなくてもいいように……。

◇◇◇

 何言ってんのか、わけわからないですね(恥)。夏バテということで、お許しを~(え、おまえはいつもわけわからんから、もう出て来なくていいって? とほほほほ)。
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by uts_home | 2007-08-30 03:30 | コラム
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