……こうして書き綴る言葉を誰が読み、どんな感想/感情を持つかはわからない。けれども、何かは伝わる/通じるものと、精一杯書き続けるのは何故なのか。
……此処に引用する一遍の詩を、虐げられ/殺される側に立ち、日々言葉を紡ぐすべての人々に贈りたいと思います。彼は、言葉を求め、差別・階級のない社会を求め、誠実に生きようとした真の「文学者」の一人でした。
宛名もない手紙を書こう
いつまでも いつまでも
世の中をぐるぐる廻りして還らない
書いたら少しは望みも湧いて
笑顔の日もくるだろに
明日も恐がらなくとも良いだろに
人生のこと一人の物語を書こう
愛もあり 涙もある
少しでも人々に分るよに
汗で綴る
手紙を書こう
掌が胼胝でいっぱいになっても
一生かかっても完成しない
世の中の人々が
誰でも分る生きてる字で
盲目の人も心の曲がった人も
かんたんな字で馴染む字で
人々が行けない程
永遠の手紙
宇宙のアポロの道よりも
もっとずっと長い手紙を書こう
誰にでも良い
手紙を書こう長い 長い 手紙
一生かかっても読み終わらない
「手紙を書こう」 永山則夫/『無知の涙』所収
1997年8月1日、彼は国家によって虐殺されました。
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2008年がみなさんにとって良い年でありますように。