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七歩の詩(26)--日替わりコラム(「逍遥録-衒学城奇譚-」発掘屋)
【食べ物を作るって、そんなに簡単じゃないんです】
こんばんは。
「逍遥録-衒学城奇譚-」の発掘屋です。
本来なら、3月31日が担当なのですが、ワケあってその日はパソコンを開けられそうにないので、少し早めに。

さて今回のお題は――『食』。
中国産の冷凍食品から、薬物が検出されたコトは、普段口にしているモノが一体どんなモノなのか、ボクらにあらあためて考えさせる契機となりました。
特に日本の自給率の低さを嘆く声は大きく、新聞の読者投稿欄などにも「自給率アップを目指せ!」「安全な国内産を!」ってな調子の投稿もよくみられました。






さて、少々誤解をまねく云い方かもしれませんが、ボクからみると、このヒトたちは何をバカなコトを云っているんだろうか――としか思えないのです。
まず自給率の低さはそれこそ数十年前から問題にされていたコトで、つい昨日まで忘れていたくせに、問題がおきてから慌てだす感覚。
また中国産の食品が危険なのは、元々当たり前のコトであって、少なくとも外食をひかえたり、中国産の食品を口にしないなどの自衛をしていれば、それほど影響はないはずなのに、安価につられて購入してきたくせに、やっぱり問題がおきてから慌てだす。
まぁおきたコトをとやかく云っても仕方はないが、しかしその反動かもしれませんが、いきなり自給率のコトに目くじらをたてるなんてのも、泥縄もはなはだしいよなぁ……なんて思ってしまうのですよ。

結論から云うと、日本の農業はとっくに崩壊しています。
都会に住んでるヒトにはわからんかもしれませんが、自給率アップなんて、(数%ぐらいならともかく)夢のまた夢です。

ボクの近所にも百姓は大勢いますが、専業はほとんどいません。
農業だけでは喰っていけないからです。
そもそも働き手自体が、年寄りばかりです。
農地整備でよく「担い手育成型」とか「後継者育成型」なんて名目ついていますが、60のオッサンが「自分たちが後継者だ……」なんて云ってるぐらいですから、先行きなんて推して知るべしです。
喰ってもいけない、後継者もいない、そんな職業がつづくはずもありません。
そしてそんな彼らの今一番の関心ごとは、自分たちの土地がいくらで売れるかってコトです。
かつては農地確保のために農振地指定をして土地にしばりをかけ売却を困難にしてきた彼ら自身が、今度は高く売るためにそのしばりを解こうと躍起になっているのですよ。
それが日本の農業の現場の実態です。
漁業もそうでしょうし、畜産業もまたしかりです。

今回の騒動で何が一番違和感あったかって云うと、安易に自給率だの安全な食品だの口にするヒトたち。
都会にいて、土をさわったコトもないのに、店に入ればいくらでも食べ物は手に入る。
だから安易にそんなコトが云える。
ワタシ食べるヒト、アナタ作るヒトって感覚だ。
そーゆーヒトって、絶対ココロのどっかで農業バカにしている。

でもね食べ物を作るって、そんなに簡単じゃないんです。
自給率が低いから高くしようなんて掛け声あげたら、イナカのどっかの土地に次の年には黄金色の稲が実っているとでも思うの?
使ってない土地がある日突然に、魔法みたいに実り豊かな畑になると思ってんの?
大体、誰が作ると思ってんの?
百姓だよ、百姓。
腰の曲がった爺さん婆さんだよ。
よく考えてみなよ、そんなに大切なコトなのに、農水省の役人が率先して耕運機使って畑耕してる?
しかも安全な食べ物って何?
農薬も使わずに、生産者に炎天下草取りをしろっての?
それで今までと同じ価格の商品を提供しろだなんて無茶なハナシですよ。
第一、安価な中国産と同じ値段で、日本の生産者が食品を売って生活が成り立つと思いますか?
今ボクらが口にできる安価な食品は、国外の安価な労働力があって、はじめて可能なのですよ。

何でまたこんな国になっちゃんだろう?
もちろん昔とくらべてみる意味はありませんが、かつては少なくとも自分たちが口にする分は、ある程度は自分たちでまかなえていたはずです。
戦後のある時期までは、第一次産業が国内の産業の多くをしめいたはずです。
それが今や、国外からの安価な食品がなければ、ボクたちの生活は立ち行きません。
その一方で、1回で何万もする高級なレストランは街にあふれています。

何かおかしい。
どこかバランスが崩れている。
食い物なんて、空からふってくるとでも思ってんのか?
オサラムームー島かよ、この国は。
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by uts_home | 2008-03-30 22:17 | コラム
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