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カテゴリ:コラム( 309 )
暇にあかせて(玄耕庵日乗)
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仕事もせず、パソコンも壊れ、何もすることのない一日。ふと思いついて去年の夏に別れたMに電話をしてみる。旦那が休みで家にいるようで長話は出来なかったが、元気そうな声を聞けてよかった。声を聞くとその麗しい姿形が思い出され、なんとなし幸せな気分になった。あれほど人を好きになれたことを、我ながら誇らしくも思った。安心して愛されていた記憶が蘇り、心の底から感謝した。二人が紡いだ時間はたった二年足らずのものだったが、あの愛は本物だったと思う。太陽のような、慈雨のような愛だった。Mには幸せな家庭生活を送って欲しい。佳き母親になって欲しい。Mなら人に愛を説くことが出来ると思うから。

小説の構想は頭を巡るのだが、パソコンの不調で執筆出来ないため、本でも読むことにする。基本的に私は小説を読まない。読みたい小説がないからだ。だから自分で書くしかない。
『脳と仮想』茂木健一郎、『自分自身への審問』辺見庸、『反定義』辺見庸・坂本龍一、『永遠の不服従のために』辺見庸、をクルクルと読み飛ばす。
何故人間とはこうも救いがたい存在なのか。ブッシュとコイズミがめちゃめちゃにした世界の中で、私はキツめの抗鬱剤と睡眠薬を毎日毎日16錠も飲み下し、なんとかその縁に引っ掛かっている。そうまでして世界にへばり付いていたいか?という自問はいつも頭にある。こんな世に命を賭ける甲斐などあるのかと。派遣従業員の問題についても、言いたいことは山ほどあるが、それに対してなんの力も持てないちっぽけ過ぎる自分を叱咤することさえ放棄して、漫然と息をし、茫然と時の流れを見ている。新年を迎えたからといって何一つめでたいニュースはないし、アソウはその何の中身もない無力を全力で晒している。今の日本は、人一人生きていくにはあまりに苛酷だ。

しかしこんな年にも新成人になる人間は何万といて、彼らに希望を託さざるをえないのだが、託す希望が見当たらない。こんなに不甲斐ないことがあるだろうか。大人の仲間入りをする人間に、「こういう大人になりなさい」という規範が示せない。「素敵」という言葉を再定義しなければいけないかもしれない。

まずは私自身の立脚点となる「素敵」を構築せねば。それは鮨屋のカウンターで蘊蓄を語ることではないし、女性に抱えきれないほどの薔薇をプレゼントすることでもない。やはり、権力に盾突くことだ。抗うことだ。抗って生きることだ。何物にも縛られず、自由の牙城を守り抜くことだ。しかし今の日本に「自由」などあるのか・・・私は私個人の自由を守り抜くために抗う。ひどく滑稽ではあっても。そうとしか生きられないから。そうでなければ生きているとは言えないから。死んだほうがマシだからだ。絶望的なまでに孤独な闘争を私は一人闘う。ただ一個人として屹立するために。
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by uts_home | 2009-01-08 05:31 | コラム
2009年、はじまりました
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
旧年中はご多忙の中「Under the Sun」へのトラックバック、コメントありがとうございました。

今年は衆議院選挙が予定されています。
2005年の郵政選挙からおよそ3年半。
その間、ボクらの生活する世の中はよくなったのでしょうか、それとも悪くなったのでしょうか?
ボクら有権者が、政治に対する意思表示をする場は眼の前に迫っています。
のんびりぼちぼち、ムリをせずにやっていきましょう。
ではまた。

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「逍遥録―衒学城奇譚―」発掘屋
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by uts_home | 2009-01-06 23:08 | コラム
無慈悲な私
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無理矢理ひとつの恋を終わらせて、かわいい乙女の心から血を流れさせ、何処に行こうというのか。またひとつ「最低」の称号を積み重ね、「旅人の守護石」と言われるターコイズを纏って夜を駆ける。いつまでも陽は昇りそうにない。自分では気付いていないが、多分私は一人の夜が好きなのだ。親しいのだ。気兼ねないから。そういう理由以外に他人様の大事な娘さんに、不愉快な思いをさせる理屈が見つからない。

もう誰も好きになるまいとは、今まで何度も思った。でもそれは無理だということもわかった。無下に人の心を傷つけてはいけないということも知っているが、「知っている」と「出来る」は違うという事も今回痛いほどわかった。私はハタチの女性の相手が出来るほど、「大人」ではなかったという事だ。私は神様にはなれなかった。マッチ一本分の夢すら見せてやることが出来なかった。

言い訳はしない。ただ、自分が哀しい。

何を求める風の中ゆく    (山頭火)
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by uts_home | 2008-12-09 02:18 | コラム
まだまだ勉強の途中
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最近若い人と話す機会が多いから、つい自分がなにもかも悟った年寄りのような気分になってしまうこともあるけど、まだまだ勉強の途中なんだよ。全然青二才なんだよ。なんにも分かっていやしないんだよ。

この魂がどこにあるのかも知らなければ、この生がどこから来たかも知らない。なぜ夕暮れがこんなにも悲しくて美しいのかも知らなければ、夜の闇がどこまで深いのかも知らない。

なんにも知らないんだよ。
でも一応もう大人だから、誰も教えてはくれないんだよ。わかる?親だってもう教えてはくれない。
自分で勉強して感得するしかないんだよね。

人の一生は、はっきり言って孤独です。愛は助けにはなりますが、絶対ではありません。孤独を完全に掬い取ってはくれません。
でも、だからこそ、愛を求めてしまうのです。
だから、人間は弱いのです。愛など無視して、一人で生きていくことが出来る人は、強い人です。そうなりたいかどうかは別問題として。

「よく生きる」という意味が、未だによくわかりません。「よく生きる」とはどういうことか。
たくさんの人々と笑顔を交わすことがよく生きることなのか、密度の濃い時間を多く持てることがよく生きることなのか、多くの人を養い引っ張っていくことがよく生きることなのか、自分の内なる声に耳を傾け静かな時間を得ることがよく生きることなのか、愛する伴侶と仲睦まじい暮らしを送ることがよく生きることなのか・・・
なにひとつ出来てはいませんが、よくわかりません。

とってもとっても頼りのない大人になっているようで、すごく不安にもなれば、落ち込んだような気分になる時もあります。でも周りを見渡しても、納得出来る大人の人は数えるほどで、僕もそういう大人になりたいとは思いますが、彼らが幸せなのかどうかはわかりません。僕はまだ「よく生き」たいのか「幸せになりたい」のかすら、決められていないのかもしれません。金はなくとも自分に満足して生きて行きたいのか、好きなものを好きなときに好きなだけ食べたいのか、と言えばわかりやすいでしょうか?

こんなことを未だに言っている34歳は本当に格好悪いと思います。首をくくればいいくらい格好悪いと思います。

でも、この世界を、全否定はまだできないんです。勉強不足でそこまでの見極めがまだつかないんです。

こうやって、誰も死ぬことは出来なくて、なんとなく生きていくんだと思います。そして生きていくうちにいろいろなことを忘れて、明日の暮らしのことで頭がいっぱいになって、老いてゆくんだと思います。それが「生活」というものだと思います。

「生活」を語って「理想」を語らないのは片手落ちな感じもしますが、「理想」を語れるほど世間知らずではなくなってしまった身には、少し辛いものがあります。

深夜の独白でした。

明日からは、明日こそは、なにもかもがうまくいけばいい。そう思います。
明日がやってくるから、なんとか生き延びられるのかも知れません。明日を信じられなかった身からしたら、これは偉大な進歩です。

状況や時代は決して簡単には信じませんが、たとえいくらひどく傷つけられても、人を信じる気持ちは忘れまいと思います。多くの人を裏切り傷つけてきた僕の、せめてもの償いです。

春に鶯が鳴くように
夏に蝉が世界を凌駕するように
秋に枯れ葉が舞い落ちるように
冬に音もなく雪が降り積むように

そういう風に、生きていきたいなぁ。
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by uts_home | 2008-11-11 02:52 | コラム
風…… by 【Les Chemins De La Liberte'】 kikyo
大幅に遅刻したことを深くお詫びいたします。どうぞご容赦ください。
…………………………………………………………………………………………

「国民のために……」と厚顔無恥な政治屋どもは云う。

猪首からぶらさげた腐蝕の「免罪符」を裏返せば、穢れた血で書き殴られた文字が、こう読めるだろう。
自民党ならば「私腹のために」、公明党ならば「名誉会長のために」。
麻生太郎ならば「豪遊のために」、安倍晋三ならば「怨霊/岸信介のために」、そして小泉純一郎なら「ブッシュと私の馬鹿息子二人のために」。
こんな奴らが平然とのさばり、「選挙」目当ての愚劣パフォーマンスに於いてのみ「下々」の顔を見下ろし、ドス黒い腹の中から腐臭漂う嘘八百を搾り出し、醜く歪んだ口先から不快な嗄れ声で雑音を撒き散らす。

森喜朗という真正の阿呆が「親や子供を殺すようなことが珍しくもない世の中になったのはなぜか。やはり戦後の日教組教育の大きな過ちだ」などと不遜にものたまい、長勢甚遠/鳩山邦夫/保岡興治/森英介という無能どもが「粛々」と人を殺し続け、薄汚い自己顕示欲で膨れ上がったレイシスト首相が異次元「秋葉原」で戯言を垂れ流す足元を、自らは選挙権も無いのに国会議員に成り上がったド素人詐欺師丸川珠代が下劣な笑みを浮かべて提灯で照らす。

此の無残なる「素晴らしき世界」。

私は耳を澄ます。生き生きとした人間の声を聞くために。
そして……或る女性が語りかける。
「今、暗闇の中にいる人や悩んでいる人も、どうか夢を持って一日を過ごしてください」と。

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by uts_home | 2008-10-30 00:16 | コラム
七歩の詩(30)--日替わりコラム(「逍遥録-衒学城奇譚-」発掘屋)
こんばんは。
「逍遥録―衒学城奇譚―」の発掘屋です。
今回のお題は「辞~めたッ!」と、その反対に「やめたくてもやめられない」もしくは「絶対に続けていくと誓ったこと」です。
このお題にしようかってハナシしたころは福田首相の政権放り投げ事件がおこり、そのあまりの無責任っぷりに乗っかってやれって思ったのですが、そうしたらあ~た、今度は新政権で中山某氏がワケわからん発言をして、何かこうズブズブなカンジで引き摺り下ろされたと思えば、小泉元首相も「政治家や~めた」って云って、ヤバくなる前にトンズラこいたのでございます。

正直、ヒク。
つ~か、ネタにしてやるのもアホらしいので、ソッチ関係は無視。

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by uts_home | 2008-10-13 00:54 | コラム
「煙草の煙に我を預けて」by玄耕庵日乗
中山国交相が就任5日でお辞めになり、その言動とともに巷を騒がせておりますが、大臣の辞任というのもすっかりありふれた風景のひとつになってしまったものですね。

さて、「やめたくてもやめられない」をテーマに一時お付合いを。

やめたくてもやめられないものの筆頭と言えば、やっぱり煙草。17の頃から毎日吸い続けて早17年にもなります。その間に値段も3回は上がったかな?その度に止めようと思いながら、やっぱり止められないでいます。特にパソコンに向かって文章を考えたりしている時は、いつものペース以上に煙草に火を点けてしまうのです。歯は汚くなる、口は臭くなる、といいことひとつもないのですが・・・。

初めて吸ったのは悪友から貰った1本だと思いますが、案外美味く感じてしまい、それからハタチ頃までは色んな銘柄を試しながら煙を楽しんでおりました。思い出せるだけでも、「フィリップモリス」「キャスター」「キャビン」「ジダン」「クール」「ラッキーストライク」・・・と色々吸いましたが、大学進学を期に「マイルドセブン」に落ち着き、社会に出てからは「マイルドセブン・ライト」をずっと吸っています。何処でも手に入る銘柄というのが、やっぱり便利でいいわけです。と言っても最近はタスポ導入のおかげで(個人情報を出来るだけ晒したくないとの理由でタスポ導入に否定的、電車の定期券も頑なにICカードでなく磁気カードを使っています)、コンビニに買いに行かなきゃならんので面倒ですが。

煙草の何が美味いのか、改めて考えるとよくわからんのですが、手が伸びてしまいます。朝起きての一服、食後の一服、飲酒中の一服、考え事をしている時の一服・・・。私がまだ幼少の頃は、テレビの中のヒーロー達は美味そうに煙草の煙をふかしていましたが、昨今の禁煙ファシズムの中では煙草の地位は落ちる一方です。煙草を吸う人間の人間性まで問われるような、そんな時代になってしまいました。煙の行方に自由に心遊ばせる一時をもまで、何かヒステリックにさえ感じてしまう健康ファッショに奪われてしまうようで、かなり窮屈な思いをしていることは確かです。

何が書きたいのかわからなくなってきましたが、酒も煙草も、いい大人が自由に時を過ごすためのひとつのツールであり、またカルチャーであると思うわけです。それを歪んだ形に矯正することには、抵抗を感じている次第です。私達はもっと自由でいいと思うのです。精神を解放して生きていってもいいのだと思うのです。「煙草ひとつくらいでガタガタ言いなさんな」と嫌煙家の人に言ってみたいけど、そんな勇気ないな(笑)。
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by uts_home | 2008-09-29 00:00 | コラム
四阿日誌(20):退却を転進と言い換えたのは/徒然気儘な綴方帳・McRash
えー、3ヶ月ものご無沙汰でございまして、この間、私事多忙に加えまして、リベラル系なweblogの中で今もくすぶっている争いに絶望感を覚えたりするなど、どうして人は緩やかな連帯を紡げないのだろう、という思索を続けているわけでございます。

そんなわけで、こんな思索のなかから、意地でも諦めたくないことをぼんやりと考えたりしているわけでござんして、それは、最近に拙宅weblogの方にも書きましたが、多様性にこだわること、排除の論理を排すること、あるいは思考停止に陥らないように提案していくことなど。

多様性は系の健全性を担保し、全く異なるものがかけあわさって新たな創造の原動力となりうるもの。
排除の論理は、やがて自分自身を排除せずにおられなくなってしまう罠。
思考停止は、自ら主体的に思考し判断することを妨げる悪魔の誘惑。

こうしたこだわりをベースとして、この国に民主主義を本当の意味で根付かせていくための努力を続けることが、何よりも諦めたくないこと。

3か月ぶりのコラム復帰は、ショートバージョンでお付き合いを願いました。お後が、よろしいようで。
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by uts_home | 2008-09-25 00:00 | コラム
遺言、のようなもの
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帰庵して、リビングで汚染米のニュースを見つつ揚げ物ばかりのコンビニ弁当を腹に詰め込みながら、以前政府米の仕事をしていた頃を思い出す。その頃の私の米関係の仕事は、米倉庫の温湿度管理に倉庫に巣くう鼠の処理、農政局の小役人の機嫌取りに、米卸業者への出荷準備。一営業倉庫の総務部所属のなんでも屋、勿論政府米以外にも三洋電機関係や工業用硝子の日本電気硝子、それに個人客も担当していたから、一日中わけも分からず追い立てられ構内中を走り回っていた。その時の事を思うと、今度のニュースも「まああるだろうな」くらいにしか感じられない。政府米など7年も8年も置いてあるのはザラにある。検査してみれば黴が生えて緑に変色した米が腐るほど出てくる。それを業者にいくらか割引いて売って、業者はそれをブレンドし新米のブランド米として店頭に並べる訳だ。高いコシヒカリ買ったからと言って、それを保証する体制なんてないのだ。そんなもの構築しようとしたら死ぬほど大変だから。そんなことわざわざしなくても誰も文句言わないから。自
分が何食ってるかわからない奴に、自分のことなんてわかる訳ないんだが、日本のあらゆるものは一事が万事、そういうふうに出来ている。責任の所在なんて判明したら困るから、下っ端の業者を吊し上げる程度で終わりにしておこうということなのだ。耐震偽装問題の時の姉羽みたいなもんだ。鳥インフルエンザの時の自殺した鶏舎経営者みたいなもんだ。トカゲのシッポ切りで納得せよとのお上のお達しなのだ。誰も逆らえない。「貧乏人は麦でも食え」と言われるよりマシか?五十歩百歩だな。

読みかけだった「自由をいかに守るか」を読了し、いつものように精神安定剤1錠、抗鬱剤2錠、睡眠薬4錠を服薬し、寝室の洋間のフローリングに二枚敷きにした布団の上にパンツ一枚で横になり、扇風機の風にあたりながら、10年ぶりに高村薫の「レディ・ジョーカー」を手に取る。黄ばんだ本の表紙が、この10年のこの国の疲弊を見続けてきたようで、頁を繰る前から何か胸が締め付けられる。初読時23歳の一介の冴えない学生だった私に、「社会とは、組織の中で生きるとはいかなるものか」を教えてくれた現代文学の最高峰と言える作品。しかし私の10年も暗かったし、日本の10年も凄惨だった。
とりあえず、旧仮名使いの序文「一九四七年-怪文書」を読むのだが、今度はビールの仕事をしていた頃を思い出してしまい、睡眠薬ガバガバ飲んだのに、興奮して寝付けなく、こんな駄文を書いている。以下「」内「レディ・ジョーカー」より引用。
「かうして振りかへると、日之出社員の矜持や団結とは、いつたい何であつたのだらうと改めて我が手を見たことでした。「日之出あつての社員」と云ふ思ひは、詰まる処、会社の歯車となつて廻り続けることを悦び、小異を排して会社と云ふ傘の下で繁栄の夢を見、己の貧しさを忘れることなのでせうか。何故と云つて、一人一人の日本人が依然貧しいことに、変はりはないからです。」
大好きだった小説の背景になったビール業界に、遅れてきた社会人一年生が入ることになった。入って一月も経つと会社のブランドロゴが街のあちこちにあるのにもう気が滅入りそうになった。明けてもビール、暮れてもビール。それでもスーツに社員バッジをつけて飲み歩くのは気分がよかった。自分達が携わったビールを遠慮会釈なく我が物顔で飲み干す。上司からは職場でも酒の席でも、毎日のように熱い檄が飛ぶ。「熊よ!龍馬になるんじゃあ!」と意味不明の檄を受け、「ハイ!」と涙ぐむその頃の私。アサヒの一員であれる事に誇りを感じ、「アリンコ軍団」とヤユされる住友財閥系企業特有の粗悪な体育会系のノリについていこうと懸命だった。朝も昼も夜もがむしゃらに働き、そして際限なく飲んだ。多分会社を愛していた。辛かったけど幸せな時間だったんだろうと思う。

しかし今、34歳の私は思う。
私は国を信じない。
私は会社を信じない。
私は世間を信じない。
私は主義を信じない。
私は金を信じない。
私は力を信じない。
永年の友の忠告を聞く耳はあるつもりだけれど・・・
私は私自身も勿論信じない。構築しては壊し構築しては壊し、安住することなく私を鍛える。そして鍛えた私を信じない。

好きなものは、ブッダ、老子、一休宗純、夏目漱石、正岡子規、種田山頭火、池田晶子、佐野元春。これらに傾ける耳はある。

庵に潜みどん底の暗がりから、信じないもの達を睨み続けてやる。それが私の孤独な闘い。生きているということ。でも死んでも睨み続けてやる。それだけは絶対負けない。
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by uts_home | 2008-09-13 01:25 | コラム
「星になる」いうこと(あるいは8月末の寝言)by華氏451度
 申し訳ありません、遅れた……というのもおかしいほどマヌケな遅れ方ではありますが、ちょこっと顔を出させていただきました。

 死んだ者について「星になった」という表現が使われることがある。それをなぞって言うならば、ついこの間、我が家の居候猫が星になった。先代の居候猫を猫を死なせた後、友人が「拾って来たんやけど飼わへんか」(この友人は、いつまでたっても関西弁の抜けない関西人なのである)と言って持ち込んだ猫だった。友人はできれば自分で飼いたいような顔つきだったが、飼っている老犬との関係で躊躇したらしい。痩せこけてパサパサして目やにだらけだったその仔猫に、私は先代と同じくトマシーナという名前をつけた。御存知の方も多いと思うが、ポール・ギャリコのファンタジー『トマシーナ』から借用した名である。

◇◇◇◇◇

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by uts_home | 2008-08-31 04:41 | コラム
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